9月も残すところ後わずかになりました。3月期決算の会社は、4月1日から9月30日まで(上期)の6ヶ月間の中間決算を迎えます。この半年間の決算書(財務諸表)をベースにして会社は下期(10月1日から3月31日)の経営計画を立てます。
この決算書は、複式簿記に基づいて作られていますが、簿記を勉強する一番のメリットは、会社の状態を数字で判断できるということです。
売上に対して無駄な販売費などの出費がないのか、人件費は妥当なのか等いろいろな視点から経営というものを見ることが出来ます。 黒字倒産という言葉もあるように、利益が出ているからといって会社が安全だとは限りませんし、手持ち現金があったとしても、必ずしも儲かっているとは限りません。
簿記は会社の日常業務を客観的に示してくれますし、理論的にも補助してくれます。
このような中、会社で簿記の勉強をしているビジネスパーソンの方もいらっしゃることと思いますが、簿記検定試験の3級ならちょっとできるビジネスマンの一般常識だといわれていますし、複式簿記3級レベルの知識を持てば、将来、あらゆる場面で役にたつはずです。
また、あなたが複式簿記の知識を持っていたとすると、会社がどのように動いているのかがわかるようになると思います。
会社がどのように動いているか、わかったら、なんとなくやっている仕事もやりがいが出てきそうです。
複式簿記がわかっていると、たとえば、あなたが営業マンだとした場合、得意先を回り自社の商品の販売に外出したとします。会社を一歩出て得意先まで、会社の車を使用したとすると、ガソリン代は車両関係費、車の減耗は減価償却費、商品の注文が取れたとき注文請書を書きますが、その用紙は消耗品費と、あなたの行為はすべて簿記と関係していることが理解できるはずです。
そして、得意先から注文がとれ、商品を納品して納品書を発行し、売上伝票で売上を計上したので、OKかというと、そうではありません。売上代金の回収方法が、その場で現金の場合は、現金売上、月末締めの翌月末払いの場合には、売掛金売上になります。これらの処理もすべて簿記と関係しているわけです。
このように、ビジネスパーソンとして行動していることのすべてが、簿記と関係しているのです。
複式簿記の基本的な考え方が分かっていれば、何故このような処理をするのか、また、正しい処理はどうすればよいのか、判断することができます。
ビジネスパーソンとして行動したことのすべては、会社の決算で、一年間の会社の事業報告書として、決算書(報告書)を作成して、利害関係者の人たちに開示しなければいけません。
この報告書(決算書)を作るためのツールとして、複式簿記が利用されています。この複式簿記の目的は、「事実から報告書を作る」ことにあります。
また、この報告書(決算書)を会社では、財務諸表といい、貸借対照表と損益計算書から構成されています。(キャッシュフロー計算書を含めることもある)
この貸借対照表の項目(資産、負債、資本)の増減と損益計算書の項目(収益、費用)の発生、消滅について記録、集計する記帳システムが複式簿記なのです。
複式簿記によって作成された貸借対照表は、企業の財政状態を示し、損益計算書は、企業の1年間の経営成績を示すものです。
このように見てくると、複式簿記の知識は、会社に関係している人の「基本」であり、また、「常識」であると言えます。
もし、複式簿記を勉強したことがないとか、良く理解できていないと言う人がいらしたら、是非、複式簿記3級レベルの知識を身につけてください。
また、今回、ビジネスパーソンとして、複式簿記3級レベルの基本的な考え方を理解してもらいたいと思い、<ビジネスパーソンの常識・複式簿記がわかる「イブと花子」の簿記物語>と言う本を出版しました。
この本は、第1部「イブと花子」の簿記物語では、複式簿記のイロハも知らない花子さんが、公認会計士イブさんの指導で、複式簿記を利用して決算書ができるまでを理解していく過程を対話形式の物語でまとめました。お店を経営している太郎さんの奥さんの花子さんと公認会計士のイブさんの会話を通して物語が展開していきます。決算書について、絶対知っておかなければいけないことを、ストーリーにしてやさしく解説しています。
また、第一部は拙著:「複式簿記」で「あなた」が変わる―仕事が変わる・家庭が変わるーの第2部を抜粋したものです。
第2部の厳選・仕訳の練習問題は、複式簿記3級レベルの練習問題です。この問題が解ければ、簿記3級検定試験の問題も解けるようになる事と思います。
(参考)のイメージ仕訳を使った経営分析は、会社の決算書を見て経営分析する方法として、従来の方法とは異なり、期間比較をして、仕訳を推定するという方法を解説しています。その推定をベースに有価証券報告書などを読むと、会社の実情がより理解する事が出来るようになると思います。
ビジネスパーソンとして、複式簿記3級レベルの知識を常識として身につけたいと思われる方は、是非、この本を参考にしてみてください。 |