依田宣夫の一言コラム

                                   第31回から第40回    

                                              

                                                                                                                                        

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家計会計協会                                                                                        

 

 第31回           第40回

   家庭を守る(その5)・・負債について

   第39回

   家庭を守る(その4)・・負債について

   第38回

   家庭を守る(その3)・・資産について

   第37回

   家庭を守る(その2)・・資産について

   第36回

   家庭を守る(その1)

   第35回

  会計的センスを身に付ける(最終回)

   第34回

  会計的センスを身に付ける(その4)

   第33回

  会計的センスを身に付ける(その3)

   第32回

  会計的センスを身に付ける(その2)

 第31回           第31回

  会計的センスを身に付ける(その1)

 

                                            第40回 家庭を守る(その5)・・負債について

借金(負債)の現状

 平成17年度における負債の状況をみると、全世帯の一世帯あたりの負債現在高の平均は、501万円になっています。また、勤労者世帯一世帯あたりの負債現在高の平均は、616万円となっていて、全世帯の平均を115万円上回っています。この負債の内訳を見ると、住宅・土地のための負債が、全世帯一世帯あたりの平均が434万円、勤労者世帯一世帯あたりの平均は561万円となっており、全世帯の平均を127万円も上回っていることが分かります。また、住宅・土地以外の負債は、一世帯あたりの平均が、全世帯で52万円、勤労者世帯で38万円となっています。一方、60歳以上の勤労者世帯あたりの負債現在高の平均は213万円で、このうち住宅・土地のための負債は169万円、住宅・土地以外の負債は44万円となっています。このように、勤労者世帯一世帯あたりの負債の中心は、住宅・土地のための負債であることが分かります。

 借金にはどのようなものがあるのか

以前は、借金が出来るのも財産のうちと言われていたが、今は、借金といってもさまざまな借金があります。まず、住宅の購入や増改築に伴う資金を、住宅金融公庫や銀行など金融機関から借りる場合の「住宅ローン」があります。また、住宅ローン意外にも教育ローン、自動車ローンやカードローンなど金融機関から借りる場合の借金があります。

さらに、クレジットカードで買い物をしたときの購入代金のうちまだ決済されていない未払いの部分で、後日、銀行預金などから引き落としになるものがあり、また、カードで買い物をすると、銀行決済が行われるまでは、その利用残高は借金(負債)の扱いになります。これ以外にも、購入した資産の未払いや飲食店へのツケなども同じです。

借金の性質

  借金とは、通常「負債」と言い、将来、現金によって支払わなければならない債務、義務のことを意味し、借金にもそれぞれの性質があります。

   返済期間の短いものと長いもの

借金には、返済の支払い期間が短期のものと、長期のものがあります。支払い期間が 短期のものはカードで買い物をしたときのカード未払金やカードローンなどがあり、一方、支払い期間が長期なものの代表は住宅ローンがあります。

担保の必要なものと無いもの

 担保の必要なものの代表は住宅ローンです。一方、必要ないものは、カードで買い物をしたカード未払金や、カードローンなどの無担保ローンがあります。

 教育ローン、自動車ローンは、一般的に担保の必要性は無いものの、資金の使途が限定されています。

  支払利息の高いものと低いもの

支払利息は、一般的に無担保のローンは利率が高く、有担保ローンは利率が低い。

すなわち、担保のある住宅ローンは利率が低く、カードローンなどの無担保のローンは、利率が高い。

 例えば、50万円を借り入れ、金利20%、毎年10万円、5年間で返済した場合に払う支払利息は、5年間合計で30万円にもなります。そこで、返済に充てる余剰資金ができたときは、利率が高いものから返済していくことが望ましいといえます。また、支払利息が家計を圧迫しないような賢い利用計画を立てることです。

 会社の借入金と家庭の借入金は違うか

 会社の借入金と家庭の借入金は、違うものなのでしょうか、または、同じものなのでしょうか。

当然同じものです。何が違うのでしょうか。利率、返済期間、担保が違っています。

 通常、会社の場合は、利率は高く(ただし、会社の業績などによって違う)、返済期間は短いが、家庭の場合は、住宅ローンが中心で利率は低くて、返済期間は長いと言う特徴があります。

 しかし、両者はともに支払利息を支払わなければなりません。したがって、できるだけ早くローンを返済した方が会社や家庭にとって有利になる、つまり、自分達で使えるお金が増えると言うことです。

  たとえば、いま、あと5年で返済が終わる住宅ローンの残高が300万円あるとします。利率を年利3%とすると、支払利息の合計は(9+7.2+5.4+3.6+1.8=27万円)になります。もし、いま、定期預金が300万円あったとしたら、これを解約してローンを返済することにより27万円(一年平均で5.4万円)使えるお金が増えます。(ただし、定期預金の金利がありますからもう少し減少します。)このように、借金はできるだけ早く返済することにより、自分達にとって、使えるお金が増えると言うことが分かります。しかし、定期預金の解約は、家庭の資金繰りを悪くする危険があるので、余剰資金がある場合に行うことが得策と言えます。                                                                                               (2008年7月15日) 

 

           第39回 家庭を守る(その4)・・負債について

借金とは

Aさんの家は、代々借金をすることが嫌いな家系である。借金をするくらいならガマンをするということにしてきた。しかし、時代が変わり、さまざまなローンが出来、簡単に借り入れをしたり、クレジットで買い物をしたりすることが出来るようになった。Aさんの家でも家族がそれぞれクレジットカードを持っているし、それで買い物をすることが、当然のようになっている。先日も、各クレジット会社からの請求書が、何通も届いていた。支払いの合計金額は、数万円になり資金の流出は、意外に大きな金額になっていることが分かった。

  また、最近、クレジットカードによる使いすぎだとか、誤った請求などさまざまな事件が起こっている。そこで、Aさんは、家族で持っているクレジットカードを検討することにした。

 まず、Aさん自身のクレジットカードはカード会社が3枚、デパートが3枚、大型店が5枚、航空会社が2枚、その他2枚、合計15枚になった。奥さんは、買い物でも利用しているのでAさんよりも多くて21枚あった。また、子供達もそれぞれ12枚と11枚のカードを持っていることがわかった。

 Aさんの家族が使ったクレジットカードの利用代金は、翌月かまたは翌々月に請求が来て、普通預金の口座から引き落とされている。カードを利用したときには、現金や普通預金が減ることは無いので、いままで自分の資産が減ったとは思わないで使っていた。

 しかし、カードを利用したときには、将来、現金によって支払わなければならない債務、義務が発生しているのである。これが「借金」である。実際に、現金の借り入れをしなくても借金は発生するのである。

「借金」とは、通常「負債」と言い、「将来、現金によって支払わなければならない債務、義務」のことを言います。

 Aさんは、現金の借り入れだけでなく、クレジットカードの利用も借り入れと同じなので、その使いすぎには注意が必要だと、再認識することになりました。

借金は何故するの?

 Aさんの家族と同様、個人が比較的簡単にお金を借りることができたり、クレジットカードを使って買い物を出来る時代になった。

 現金で支払う代わりに、クレジットカードなどを使うこと、例えば、カードで洋服を購入したり、無担保ローンで海外旅行へ出かけたりする場合には、借金でその支払いをしているのと同じことなのです。このように、借金をしてまでモノを買ったり、旅行をしたりするのは、今、支払うお金より、将来、支払うお金が多くなっても、今すぐに満足したいと言うことが原因になっています。このことを「消費満足の先取り」といいます。

 そして、お金を貯めてから、モノを買ったり、旅行をしたりするのと、「消費満足の先取り」をして、今すぐ借金でモノを買ったり、旅行をしたりするのとの差は、「支払利息」に表れます。つまり、「借金」をするかどうかは、「消費満足の先取り」と「支払利息」の合計が、借金に見合うものかどうかが、重要な判断材料になるのです。

 したがって、「借金」<または=「消費満足の先取り」+「支払利息」になるように「借金」をすることが望ましいのであって、もし、「借金」>「消費満足の先取り」+「支払利息」となるような場合には、「借金」をすることについて考えなおす必要があると言えます。

                           (2008年7月11日)

         

                第38回 家庭を守る(その3)・・資産について

まだまだあるぞ!我が家の資産

翌日、Aさんは、結婚指輪とか結婚25周年の記念にプレゼントした指輪も資産ではないかと考えた。家庭における資産は、昨日、自分が思いついたもの以外にもいろいろあるように思えた。

そして、「家庭における資産とは、自分が所有しているもののうち、現金化できるもの全てのもの」を言う、ということが分かった。

例えば、現金、預金、有価証券、土地や建物だけでなく、指輪、ピアノ、パソコンや高額な家電製品、ブランド品なども売却可能な現金化できる資産に該当することになる。

そこでAさんは、改めて我が家の資産を見直して見ることにした。まず、子供のために購入したピアノ、たんす、机、テレビ、ステレオ、ゴルフのセット、オメガの時計、ダイヤの指輪、パールのネックレス、金の地金、数十万円した絵画、まだまだあるかもしれないが、このへんで考えることを止める事にした。

また、保険などのうち、満期に戻ってくるものや解約返戻金のあるものも資産となることが分かった。さらに、友人に貸しているお金や立て替えているお金も、資産になるということも分かった。

 資産の管理

Aさんは、自分の資産をすべて書き出してみたが、その数の多さに驚くと同時に、これをすべて管理するとなると、とても大変だし出来ないと思った。良く考えてみると、家庭におけるすべての資産を管理することは、煩雑で時間と労力が必要となるので、はっきりと売却が出来ると思われるものを管理の対象として、それ以外のものは実際に売却できたときに対処すれば問題はない。

そこで、Aさんは書き出した資産の内、売却可能な高額品のうち、確実に売却が出来ると思われるものだけを管理の対象とすることにした。

その結果作り上げたAさんの資産の内訳は、次のようなものになった。

     現金、預金(普通預金、定期預金、定期積金、外貨預金それに社内預金)

     土地、建物、自家用車、有価証券、保険積立金、ピアノ、指輪

 資産にも個性がある

資産も、人間と同じように、良く見るとそれぞれ個性を持っています。そして、その資産のそれぞれの個性を知っていることで、資産を上手に利用することが出来るのです。

現金化できる時間を考える

現金化できる時間をベースに考えると、すぐに現金化できる資産、比較的短期間に現金化できる資産、現金化にある程度の期間が必要な資産に分けられます。

すぐに現金化できる資産としては、現金や普通預金があり、比較的短期間に現金化できる資産としては定期性預金、有価証券や保険積立金があり、そして、現金化にある程度の期間が必要な資産としては、不動産や車などがあります。

 資産の支払能力の安定度

   資産の支払能力の安定度という点から考えると、支払能力の安定度の高い資産と、支払能力の安定度の低い資産に分けられます。

  支払能力の安定度の高い資産とは、物品を購入したりしたときの支払いとか、負債を返済するときの支払いに充てるなど、すぐに支払いに利用できる資産という意味で、たとえば、現金、普通預金、定期性預金、有価証券や保険積立金などが上げられます。

  また、支払能力の安定度の低い資産とは、すぐに支払いに利用できない資産で、たとえば、不動産や車など売買の成立までに時間を必要とし、売買成立後に初めて現金化できるもので、現金化できる金額も、売買成立以前に想定していた価格とずれやすいと言う意味でも、支払能力の安定度の低い資産ということが言えます。

  家庭においては、病気や冠婚葬祭など、いざと言うときの備えとして、支払能力の安定度の高い資産を準備しておくと言うことは、大切なことと言えます。

借り入れ能力(担保価値)

  銀行などからお金を借りる場合、担保の提供を要求されます。たとえば、新築のマンションを購入する場合には、購入するマンションを担保としてお金を借りることになります。

   資産を担保価値という点から見た場合には、定期性預金、有価証券、土地及びマンションの担保価値は高いことになります。一方、車とか高額で売却可能な家電製品などの場合には、借り入れ能力(担保価値)は、事実上ないに等しいと言えます。

  時価評価の対象

   時価評価の対象となる資産とは、時間の経過とともに、その価値が下がったり、その時々の相場によって、価値が変動する資産のことで、その代表的なものとしては、有価証券、不動産、車、会員権などがあります。   

  一方、時価評価の対象とならない資産としては、現金、普通預金、定期預金があります。

  このように、それぞれの資産の個性を考えながら資産をコントロールすることが、家庭の経営者の仕事と言えます。

                          (2008年7月8日) 

 

            第37回 家庭を守る(その2)・・資産について

・資産の話

『「ウチには資産なんてない!」と思っていても、結構、資産はあるものだ。まずは、現状の把握が大事。とくに、資産デフレが著しい今日、放っておくと価値が下がる資産は少なくない。全ての情報を洗い出して整理してみることによって、気づくことも多い。

家庭における資産は、頭の中だけで把握しているつもりでも、実際に正確な数字を積み上げていくと、予想外の現実が見えてくるものだ。』と、電車のつり革広告に、週刊誌の見出しが大きく出ていた。

 意外と我が家の資産もあるかもしれない。我が家の資産を洗い出してみよう!とAさんは思った。

Aさんは、現在57歳、団塊の世代と言われる年代の真ん中にいる。

 家族は、妻と子供2人 、大都市近郊でマイホームを作った。故郷には年老いた両親が健在で、2人で農業を営んでいる。Aさんの家に、毎年、新鮮な野菜を送ってくれている。

 Aさんの家族は、毎年、夏のお盆と正月には両親のいる田舎へ帰っている。技術屋で上場会社の研究所に勤務をして30年を超え、もうすぐ定年を迎えるAさんは、他の団塊の世代と同様に、自分の仕事である研究に没頭していて、いままで家庭のことなど顧みることは一度もなかった。子供の教育問題、クレジットカードによる取引、パソコンによる株取引など家庭を取り巻く状況は刻々と変化しているのに、家庭経済の状況などまったく理解していないと言うのが現状であった。

もちろん、今までに複式簿記などは勉強したことも、教わったこともありません。

 Aさんは、来年には住宅ローンの返済が終わるので、今から自分たちの将来について奥さんと話しあいたいと思っています。また、一戸建てに住んでいるAさんは、都心のマンションへの買い替えを考えている。

さっそく家に帰り、我が家の資産はどんなものがあるのか?Aさんは、自分なりに思いつくものを書き出してみることにした。        

 我が家の資産

Aさんが我が家の資産としていちばん最初に考えたのは、一戸建ての家と車である。

郊外に所有している一戸建ての家(土地は50坪、購入価格は土地3000万、建物2000万)住宅ローン3500万、頭金1500万、30年返済で、30歳のときに新築を購入し、そのとき頭金として、親から500万円の資金援助を受ける。

そして車は、1800ccのセダンのファミリーカー(購入価格は230万、2年経過)

次に、現金と預金。

現金は、手持ち現金が一万数千円。

預金と言っても普通預金、定期預金、定期積金、外貨預金それに社内預金など、いろいろあることが分かった。

Aさん名義の普通預金はA銀行、B銀行、C銀行、奥さん名義の普通預金A銀行、B銀行、C銀行、子供二人の名義の普通預金A銀行、A銀行、B銀行、B銀行、C銀行それに郵便貯金もあることが分かった。さらに、Aさんと奥さん名義の定期預金がA銀行、B銀行、子供名義の定期積金がA銀行、B銀行、C銀行にあることが分かった。また、外貨預金は、海外旅行に行って、残ったトラベラーズ・チェックを外貨預金としてB銀行へAさん名義で預けてある。

Aさんは、預金だけでこれ程あるとは思わなかったので、非常に驚いた。

最近インターネットで株取引を始めたので、一部上場会社の株式があるのと国債を購入しているのと投資信託も持っている。

Aさんが思いついた資産は、このようなものであった。

定年後の貯蓄

Aさんは、自分の資産を調べたついでに、もうすぐ定年を迎えるにあたり、老後の貯蓄はどれくらい必要なのか考えてみた。

 一般的に、定年後の夫婦の老後資金は1億円必要だといわれています。そのうち通常6割前後が公的年金でカバーされるが、その他の4割近くの資金は個人年金、企業年金、預貯金、退職金などでカバーすることになるといわれています。

 そこで、Aさんは、60歳以上の世帯主の金融資産はどれくらい貯蓄されているのか調べてみることにした。

 総務省統計局の平成17年「家計調査の家計簿から見たファミリーライフ」よると、平成17年度における世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高の平均金額は、2,459万円でした。一方、全世帯の貯蓄現在高の平均金額は1,728万円でした。世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高の平均金額は、全世帯の平均金額を、731万円上回っていて、約1.4倍になります。

 また、3,000万円以上の貯蓄のある人は、60歳以上の世帯では28.2%で、全世帯では16.9%になっています。一方、1,000万円以下の貯蓄の人は、60歳以上の世帯では33.2%で、全世帯では49.3%となっています。

 貯蓄を種類別に見ると全世帯については、通貨性預貯金が269万円、定期性預貯金が756万円、生命保険などが427万円、有価証券が227万円、その他が48万円になっています。

 また、勤労者世帯については、平均貯蓄現在高が1,292万円で、全世帯の貯蓄現在高の平均金額を436万円下回っています。貯蓄の種類別の内訳は、通貨性預貯金が216万円、定期性預貯金が526万円、生命保険などが364万円、有価証券が118万円、その他が67万円になっています。

 勤労者世帯のうち、世帯主が60歳以上の貯蓄現在高の平均金額は2,195万円で、60歳以上の世帯の貯蓄現在高の平均金額を264万円下回っていますが、勤労者世帯の平均貯蓄現在高を903万円上回っています。また、3,000万円以上の貯蓄のある世帯は、全体の25,9%で、一方、1,000万円以下の貯蓄の世帯は、全体の34,8%となっていることが分かりました。                                                                                                    (2008年7月4日)

 

                         第36回 家庭を守る(その1)

ガソリンや食料品などの物価の値上がり、格差問題、少子化問題、教育の問題、年金問題など、数え上げればきりがないほど、さまざまな問題が山積している現在の複雑な経済社会のなかで、自分たちの家庭を維持、向上、発展させていくことは、非常に困難になっています。

 昔から言われているように、家庭の大黒柱とは、家の中心にあり、家を支える柱として重要な役割を果たしています。この大黒柱の語源は、恵比寿大黒、すなわち大黒様から来ているといわれ、一家を支えると言う意味から、家の中心的な人物を言うとされています。

 家庭の大黒柱と同じように、「家庭の経営者」は、自分を含めた家族に対して、家庭を守るという重要な役割を果たさなければいけません。例えば、マイホームの購入や子供の教育費など、家族に何らかの負担を強いらなければいけないことが生じた場合、そのことについて、家族に対して説明責任が生じます。そのとき、もし何の準備もなく、ただ抽象論や精神論を語ったとしても家族の同意を得ることはできません。家族に対して、自分たちの家計の真実の情報を伝えることが必要なのです。

家族にとって、家計の真実の情報にもとづいて家計を管理するということは、生活や人生をデザインする重要な「叩き台」になるのです。

また、収入増を望んでも難しい環境の中で、家計を上手に管理していくことは、家族にとって非常に重要な問題です。

これから先、自分の夢、家族の夢をかなえるには、健全な家計を維持していく必要があります。そのためには、毎年、年末に決算を行い、家計の問題点を解決していくことが、家族にとって大切なのです。

現在の複雑な経済社会のなかで、「家庭の経営者」として場当たり主義を脱却し、お金の裏付けのある人生設計をするために、確実な家計管理法を研究することが必要になっているのです。

30代、40代、50代と、それぞれの年代において「家庭の経営者」として、また、「家庭の大黒柱」として、家庭において果たす役割は重大です。

30代においては、結婚、出産、育児、教育、マイホームと新しい家族が形成されていく中、「家庭の大黒柱」として、どんな家庭を作っていくのか、家庭経営者に対する家族の期待と夢は大きいのです。

40代においては、住宅ローン、教育費、食費、衣料費など人生で最もお金が掛かる時期をどう乗り切るか、家族は「家庭の大黒柱」の経営手腕に期待しているのです。

50代においては、子供もひとり立ちし、いよいよ第2の人生について考え始める時が近づいてくるのです。しかし、もし、これまでに「家庭の大黒柱」として、一生懸命働いて、収入を得るなど、お金を増やすことには、家庭に対して充分に役割を果たしてきたとしても、お金を使って家族の満足度や幸福感を最大にすることについての意識が低かったとすると、50代になって、はじめて家庭を顧みて、家族のために何かしてあげようと思ったとしても、すでに「家庭の大黒柱」として期待されることが、なにも無くなってしまっている危険性があります。

バランスの取れた健全な家計を維持するためには、自分たちの家庭経営について考えてみる必要があるのです。

                                                                                       (2008年7月1日)

 

              第35回 会計的センスを身に付ける(最終回)

  会計的センスを身に付けるために必要と思われる複式簿記の基本的事項の紹介

     (拙著の第2部「イブと花子の簿記物語」の第5回、第6回の「レクチャー」と「まとめ」より)  

        第5回 ここまでくれば経理マン

         レクチャーの内容

1、   掛け取引とメモ(仕訳)

2、  メモ(仕訳)を科目別にファイリング(転記)する

3、   メモ(仕訳)とファイリング(転記)がうまくいったか、チェックする表(試算表)を作成する

4、   仕入先や得意先別に商売の現状把握をするための帳簿(補助簿)を作成する

第6回 いよいよ最後の報告書

         レクチャーの内容

1、   試算表の化粧直し(修正仕訳)をする

2、   報告書のための作成作業(精算表)をする

3、  目的の報告書(貸借対照表と損益計算書)を作るなど、

  試算表をデータベースとして最後の報告書を作ります。

・試算表のお化粧直し=決算整理の主なもの

         現金過不足の整理

         商品の棚卸と売上原価の計算

         貸倒れの見積もりと貸倒損失

         固定資産の減価償却

         収益費用の繰延べと見越し計上

              

               ・報告書ができるまで

            事実を仕訳する

              |

            帳簿(元帳)に記帳する

              |

            試算表を作る

              |

            決算整理をする

              |

            報告書を作る

                  以上

  会計的センスを身につけ付けると言いますが、この会計とは、「特定の経済主体の構成員が営む経済活動およびこれに関する経済的事象を、主として貨幣額で測定し、記録し、かつ伝達する行為であり、会計の目的、内容は、経済主体の構成員の意思や要求によって決まり、この意思や要求は、時代と環境の変化によって常に変わるものである」と言われています。

 また、経済主体ごとに、その経済活動を貨幣額で測定し、記録して作られる会計情報は、経済主体の目的、内容により異なります。

 この会計情報を必要とする経済主体を会計主体と言い、会計主体としては、例えば、株式会社など、利益を目的とする法人とか、給与所得者など利益を目的としない個人などがあります。

「複式簿記」とは、会計主体が必要とする会計情報を作るための基本的な方法(技術)です。したがって、複式簿記の基本的な考え方を知らなければ、会計情報を正しく判断したり、分析したりすることはできません。

 そこで、従来の「借方」や「貸方」という簿記用語を使わない方法で、複式簿記の基本的な考え方を、練習問題を解きながら理解してもらいたいと思って、この<「複式簿記」で「あなた」が変わる―仕事が変わる・家庭が変わるー>という本を書きました。

 もし、会計的センスを身に付け、会社や家庭の会計情報を理解し、分析したりして役に立てようと思う方がいらっしゃれば、是非この本に、チャレンジしてみてください。

                     (2008年6月20日)

 

           第34回 会計的センスを身に付ける(その4)

 会計的センスを身に付けるために必要と思われる複式簿記の基本的事項の紹介

  (拙著の第2部「イブと花子の簿記物語」の第4回の「レクチャー」と「まとめ」より)

第4回 今日がクライマックス

レクチャーの内容

1、    簿記用のメモを取ることを仕訳と言う

2、     仕訳をスローモーションカメラで分解すると、

  ホップ・ステップ・ジャンプの三段跳びゲームになる

3、   ホップは科目付けである。会計事実がどの勘定科目に分類できるか推測する

4、 ステップは増減付けである。推理した勘定科目の増減を判断する

5、 ジャンプは左右付けである。メモの右に書くか、左に書くかを確認する

まとめ

1、簿記用のメモを取ることを仕訳と言う

・1つの会計事実から1つのメモを起こす

・左右に分かれている

・左右の金額が一致している

・勘定科目で分類する

2、仕訳をスローモーションカメラで分解すると、

ホップ・ステップ・ジャンプの三段跳びゲームになる

     ・ホップは科目付けである。会計事実がどの勘定科目に分類できるか推測する

     ・ステップは増減付けである。推理した勘定科目の増減を判断する

     ・ジャンプは左右付けである。メモの右に書くか、左に書くかを確認する

     科目の増減を考えるとき、貸借対照表と損益計算書の原型のイメージを描き、

     その原型にあてはめて考える

イメージ1

          貸借対照表

         (例)預金の左右・増減イメージ

            預金は資産だ

            パッとイメージして

            資産は左だ

            左が増・右が減

イメージ2

          損益計算書 

        (例)交通費の左右・増減イメージ

           交通費は費用だ

 パッとイメージして

           費用は左だ

           左が増・右が減

                                   (2008年6月17日)

 

            第33回 会計的センスを身に付ける(その3)

    会計的センスを身に付けるために必要と思われる複式簿記の基本的事項の紹介

 (拙著の第2部「イブと花子の簿記物語」の第3回の「レクチャー」と「まとめ」より)      

         第3回 事実がだんだん多くなる

レクチャーの内容

1、   資産・負債・資本ってなんだろう

2、   費用・収益ってなんだろう

3、 項目を簿記では勘定科目という

    4、事実とは会計事実のことである

5、計事実をメモにとっておけば、どんなに事実が多くなっても大丈夫

6、 メモのとり方の特徴

 まとめ

1、資産・負債・資本

             資産とはプラスの財産である

             負債とはマイナスの財産である

             資産と負債の差が資本である

           2、費用・収益

             費用とは商売をするために支払う金額(原因)

             収益とは商売の結果得る金額(結果)

           3、勘定科目(記録・計算するための単位)

             資産の勘定科目の例 

                      現金  預金  土地  建物

             負債の勘定科目の例

              借入金  未払金

             資本の勘定科目の例

              資本金(元手)  利益

 

 費用の勘定科目の例

              仕入  交通費  消耗品費 

             収益の勘定科目の例

              売上   受取利息

4、会計事実

             勘定科目に変化をおこす事実

        5、簿記用のメモの基本形

              左側(借方)        右側(貸方)

           勘定科目  金額(円) /  勘定科目  金額(円)

                                <左側(借方)と右側(貸方)の金額は一致>

 6、現金の増減とメモのとりかた

  現金増→左側(借方)に記入

  (現金が増えたら左側)

            現金減→右側(貸方)に記入

            (現金が減ったら右側)

                          (2008年6月13日)   

     

            第32回 会計的センスを身に付ける(その2)

    会計的センスを身に付けるために必要と思われる複式簿記の基本的事項の紹介

 (拙著の第2部「イブと花子の簿記物語」の第2回の「レクチャー」と「まとめ」より)

     第2回 まずは報告書とお近付き

        レクチャーの内容

1、       財産についての報告書を、簿記では「貸借対照表」と言う

2、       益についての報告書を、簿記では「損益計算書」と言う

3、       貸借対照表は、資産・負債・資本と名付けられた3つのグラウンドから 構成されている

      (注:現在、資本は純資産とも言われています)

 

     1、       損益計算書は、費用・収益と名付けられた2つのグラウンドと、

       利益と名付けられたコーナーから構成されている

     2、       利益こそが報告書の目玉である

  

                ま と め

・貸借対照表は、資産・負債・資本と名付けられた3つのグラウンドから構成されている

             貸借対照表          

     

    資      産

 

   負         債

   資         本

      資産=負債+資本

       現金は資産の欄に入る

       借入金は負債の欄に入る

       資本金(元手)は資本の欄に入る

 利益は資本の欄に入る

 

 ・損益計算書は、費用・収益と名付けられた2つのグラウンドと、利益と名付けられたコーナーから構成されている

  損益計算書

   費   用

   収   益

   利   益

 費用+利益=収益

        仕入は費用の欄に入る

        売上は収益の欄に入る

        利益は利益の欄に入る

   ・     利益について

        利益は、貸借対照表の資本の欄と損益計算書の利益の欄の2ヶ所に顔を出す

        利益は、報告書の中で最重要科目である

        利益は、計算によって求められる(他の項目は事実から求められる)

        利益の計算が正しいかどうかは、2つの利益額が一致するかどうかで、チェックできる

                                2008年6月10日

          

          第31回 会計的センスを身に付ける(その1)

 おかげさまで、拙著<「複式簿記」で「あなた」が変わる―仕事が変わる・家庭が変わるー>は、2008年5月2日発売以来、アマゾンの和書―「複式簿記の部門」で、売り上げランキング9位(2008年6月6日現在)、また、複式簿記に関する書籍の売れ筋ランキングAmazon扱い(アソシエイト)では、2位にランキングされました。(最終更新日2008年6月4日)

今回、会計的センスを身に付けるために必要と思われる基本的事項として、拙著<「複式簿記」で「あなた」が変わる―仕事が変わる・家庭が変わるー>の「第2部・イブと花子の簿記物語」の第1回から第6回までの「レクチャー」と「まとめ」を、数回にわたって紹介いたしますので、ご参考にしていただければと思います。

まず、会計的センスを身に付ける必要性について考えて見ましょう。

会社は、日々市場において戦っています。この戦いに勝つために、会社には、競争相手の情報、業界の情報とか会社の経営成績、各事業部の営業成績、工場の製造コストなどの情報や分析資料があります。あなたは、会社で、これらの情報や分析資料を読みこなせなくて、困ったことはありませんか。また、十分に使いこなせなくて、困ったことはありませんか。

このときに必要なのが、まさに、会計的センスなのです。

会計的センスの基本になるのは、複式簿記です。複式簿記を知らずに、正確な会社の経営分析や情報分析などが、できるわけがないと言っても、言い過ぎではないでしょう。

 複式簿記の基本的知識を持つことで、会計的センスを身に付けることができるのです。

従来、複式簿記の勉強は、「借方」、「貸方」という専門用語を中心にしてきました。しかし、今回、複式簿記の基本的知識を持つために、「借方」、「貸方」という言葉を使わないで、もっと簡単に簿記の基本が理解できる勉強方法として、拙著<「複式簿記」で「あなた」が変わる―仕事が変わる・家庭が変わるー>を、紹介いたしました。

つぎに、会計的センスを身に付けるために必要と思われる複式簿記の基本的事項を、今回発売した、拙著の第2部「イブと花子の簿記物語」の第1回の「レクチャー」と「まとめ」で紹介いたしますので、ご参考にしていただければと思います。(第2回以降は次回となります)

第1回 そもそものはじまり

  レクチャーの内容

1、       簿記の目的はなんだろう

2、       事実から報告書を作る

3、       2つの報告書

4、       スマートな報告書のスタイル

        などについて学びます。

    まとめ

       1、簿記の目的

    「事実」から「報告書」を作ること

       2、報告書の種類

(1)   財産についての報告書

(2)   利益についての報告書

       3、簿記用の報告書の特徴

(1)   T字型をしていて、左右に分かれている

(2)  左右の合計額が一致している

(3)   財産の報告書では右側に、

利益の報告書では左側に

利益が表示されている

(4)   2つの利益額は一致している

                            (2008年6月6日)