1財務諸表の作成
残高試算表決算整理仕訳 精算表 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)
2残高試算表と財務諸表の関係
(1) 決算整理仕訳がない場合
残高試算表
残高 |
勘定科目 |
残高 |
600 |
現 金 |
|
|
借入金 |
300 |
|
資本金 |
100 |
|
売 上 |
500 |
200 |
仕入 |
|
100 |
水道光熱費 |
|
900 |
合 計 |
900 |
貸借対照表
資産 |
金額 |
負債および
純資産 |
金額 |
現金 |
600 |
借入金 |
300 |
|
|
資本金 |
100 |
|
|
当期純利益 |
200 |
|
600 |
|
600 |
損益計算書
費用 |
金額 |
収益 |
金額 |
売上原価 |
200 |
売上 |
500 |
水道光熱費 |
100 |
|
|
当期純利益 |
200 |
|
|
|
600 |
|
600 |
売上原価の計算
売上原価=期首繰越商品+当期仕入高−期末繰越商品
200=0+200−0
(2) 決算整理仕訳がある場合
1、決算整理前残高試算表
決算整理前残高試算表
残 高 |
勘定科目 |
残 高 |
600 |
現 金 |
|
150 |
繰越商品 |
|
250 |
売掛金 |
|
700 |
備品 |
|
|
借入金 |
300 |
|
貸倒引当金 |
70 |
|
備品減価償却累計額 |
280 |
|
資本金 |
100 |
|
売 上 |
1,250 |
200 |
仕入 |
|
100 |
水道光熱費 |
|
2,000 |
合 計 |
2,000 |
2、決算整理仕訳
期末繰越商品の金額は100でした。
決算整理仕訳
(1)期首繰越商品
(2)期末繰越商品
売上原価の計算
売上原価=期首繰越商品+当期仕入高−期末繰越商品
250=150+200−100
決算整理後残高試算表
残高 |
勘定科目 |
残高 |
600 |
現 金 |
|
100 |
商 品 |
|
250 |
売掛金 |
|
700 |
備品 |
|
|
借入金 |
300 |
|
貸倒引当金 |
70 |
|
備品減価償却累計額 |
280 |
|
資本金 |
100 |
|
売 上 |
1,250 |
250 |
売上原価 |
|
100 |
水道光熱費 |
|
2,000 |
合 計 |
2,000 |
貸借対照表
資産 |
内訳 |
金額 |
負債および
純資産 |
金額 |
現金 |
|
600 |
借入金 |
300 |
商品 |
|
100 |
資本金 |
100 |
売掛金 |
250 |
|
当期純利益 |
900 |
貸倒引当金 |
70 |
180 |
|
|
備品 |
700 |
|
|
|
備品減価償却累計額 |
280 |
420 |
|
|
|
|
1,300 |
|
1,300 |
損益計算書
費用 |
金額 |
収益 |
金額 |
売上原価 |
250 |
売上 |
1,250 |
水道光熱費 |
100 |
|
|
当期純利益 |
900 |
|
|
|
1,250 |
|
1,250 |
3決算整理仕訳の内容
決算整理には未処理取引と決算整理取引による整理があります。
通常、決算整理手続きを行うために棚卸表を作成します。
棚卸表は、あらかじめ決算整理事項をもれなく列挙した一覧表のことです。
棚 卸 表
平成XX年XX月XX日
決算整理事項 |
摘 要 |
金 額 |
繰越商品 |
|
XXXXX |
貸倒引当金繰入 |
|
XXXXXX |
減価償却費 |
|
XXXXXX |
消耗品 |
|
XXXXXX |
前払保険料 |
|
XXXXXX |
|
|
|
(1)未処理取引
1、未処理取引の基本項目
未処理取引とは、決算整理事項の処理をする前の処理のことで、
主な項目は、次の通りです。
1、現金過不足の整理
2、出張旅費の概算払いの精算
3、記帳誤り
4、仕訳の未処理
5、仮払金の整理
6、仮受金の整理
2、未処理取引例
1現金過不足の整理
(1)現金過不足額(貸方残8,000円のうち5,000円は受取手数料の記入漏である
ことが判明したが、残額については決算日現在その発生原因が依然として不明で
あったので適切な処理をした。
解答
仕 訳 |
借 方 |
貸 方 |
現金過不足 7,000円 |
受取手数料 5,000円
雑 益 2,000円 |
(2)現金過不足額(借方残)500円のうち、200円は従業員に対する給料
12,200円を現金で支払った際に,この取引を誤って12,000円で
記帳したことによるものであることが判明した。しかし、残額については、
原因が不明であるので、適切に処理することにした。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
給 料 200円
雑 損 300円 |
現金過不足 500円 |
(3) 現金の実際手許有高は、10,000円であった。帳簿有高は10,500円で不一致の原因は不明である。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
雑 損 500円 |
現金過不足 500円 |
(4)現金過不足額(貸方残8,000円のうち5,000円は受取手数料の記入漏れであることが
判明したが、残額については決算日現在その発生原因が依然として不明であったので適切な
処理をした。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現金過不足 |
8,000円
|
受取手数料
雑益 |
5,000円
3,000円 |
|
|
|
|
(5)現金過不足額(借方残)500円のうち、200円は従業員に対する給料12,200円を
現金で支払った際に,この取引を誤って12,000円で記帳したことによるものであることが
判明した。しかし、残額については、 原因が不明であるので、適切に処理することにした。
左側(借方) |
右側(貸方) |
給 料 |
200円 |
現金過不足 |
200円 |
|
|
|
|
左側(借方) |
右側(貸方) |
雑 損 |
300円 |
現金過不足 |
300円 |
|
|
|
|
(6) 現金の実際手許有高は、11,000円であった。帳簿有高は10,200円で不一致の原因は不明である。
左側(借方) |
右側(貸方) |
現金過不足 800円 |
雑 益 800円 |
2出張旅費の精算
(1) 出張していた従業員が帰店し20,000円の概算払いをしていた旅費の
精算をした結果、現金1,000円の戻し入れがあった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現 金 1,000円 |
仮払金 1,000円 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
旅 費 19,000円 |
仮払金 19,000円 |
(2) 従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円を現金で渡した。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
仮払金 30,000円 |
現 金 30,000円 |
(3) 出張中の従業員が帰店し、旅費交通費の精算を行い、現金で残額5,000円
の返済を受けた。 なお、従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円は
現金で渡してあった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現 金 5,000円 |
仮払金 5,000円 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
旅 費 25,000円 |
仮払金 25,000円 |
(4)出張していた従業員が帰店し20,000円の概算払いをしていた旅費の精算をした結果、
現金1,000円の戻し入れがあった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現金 |
1,000円 |
仮払金 |
1,000円 |
|
|
|
|
左側(借方) |
右側(貸方) |
旅 費 |
19,000円 |
仮払金 |
19,000円 |
|
|
|
|
・出張旅費の概算払いは仮払金で処理されています。
(5)出張していた従業員が帰店し20,000円の概算払いをしていた旅費の
精算をした結果、現金1,000円の戻し入れがあった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現 金 1,000円 |
仮払金 1,000円 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
旅 費 19,000円 |
仮払金 19,000円 |
(6)従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円を現金で渡した。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
仮払金 30,000円 |
現 金 30,000円 |
(7)出張中の従業員が帰店し、旅費交通費の精算を行い、現金で残額5,000円
の返済を受けた。なお、従業員の出張にあたり、旅費の概算額30,000円は
現金で渡してあった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現 金 5,000円 |
仮払金 5,000円 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
旅 費 25,000円 |
仮払金 25,000円 |
3記帳誤り
期中に小切手を振り出して支払った広告費70,000円を80,000円と記帳して
いたことが判明した。
左側(借方) |
右側(貸方) |
当座預金 |
10,000円 |
広告費 |
10,000円 |
|
|
|
|
(1)期中に小切手を振り出して支払った広告費60,000円を70,000円と記帳
していたことが判明した。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
当座預金 10,000円 |
広告費 10,000円 |
4仕訳の未処理
(1)商品の注文にかかわる手付金として受領した前受金80,000円のうち、
60,000円分については、商品の引渡しが完了していたが、この処理が未済であった。
左側(借方) |
右側(貸方) |
前受金 |
60,000円 |
売 上 |
60,000円 |
|
|
|
|
(2) 店主の私用による消費の未記帳
店主が私用のため商品(原価5,000円)を消費したが、この取引が未記帳となっている。
左側(借方) |
右側(貸方) |
資本金 |
5,000円 |
仕 入 |
5,000円 |
|
|
|
|
(3) 得意先から受け取っていた約束手形を100,000円を銀行で割引、割引料
5,000円を差し引かれ残額を当座預金に預け入れていたが、その処理が未処理だった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
当座預金 95,000円 |
受取手形 95,000円 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
手形売却損 5,000円 |
受取手形 5,000円 |
(4)商品の注文にかかわる手付金として受領した前受金80,000円のうち、
60,000円分については商品の引渡しが完了していたが、この処理が未済であった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
前受金 60,000 |
売 上 60,000 |
(3) 店主が私用のため商品(原価5,000円)を消費したが、この取引が
未記帳となっている。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
資本金 5,000 |
仕 入 5,000 |
(4) 所有する有価証券の配当金領収書8,000円を受け取っていたことが判明したが、
決算日現在、その処理が未処理だった
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
現 金 8,000円 |
受取配当金 8,000円 |
(5)決算日に銀行から期日到来による受取手形78,000円の回収による
当座預金口座への振込みがあったという連絡がきた。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
当座預金 78,000円 |
受取手形 78,000円 |
(6)かねて他店から受け取っていた当店あての約束手形5,000円を、同額の買掛金
の支払いのために仕入先に裏書譲渡していたが、この取引の記帳をまだ行ってい
なかった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
買掛金 5,000円 |
受取手形 5,000円 |
(7)当期に発生した売掛金のうち60,000円は、その取引倒産したため、その全額を
貸倒れ処理すべきであったが、その処理がまだ行われていなかった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
貸倒損失 60,000円 |
売掛金 60,000円 |
(8)商品の注文にかかわる手付金として受領した前受金30,000円について、
商品の引渡しが完了していたが、この処理が未済であった。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
前受金 30,000 |
売 上 30,000 |
5仮払金の整理
仮払金100,000円は、当期に備品を発注した際に購入代金の一部を頭金として支払った
もので、すでに、使用中である。なお、この備品代金250,000円の残額は、決算日現在
未払いであり、これが未記帳となっている。
左側(借方) |
右側(貸方) |
備 品 |
100,000円 |
仮払金 |
100,000円 |
|
|
|
|
左側(借方) |
右側(貸方) |
備 品 |
150,000円 |
未払金 |
150,000円 |
|
|
|
|
(1)仮払金100,000円は、当期に備品を発注した際に購入代金の一部を頭金と
して支払ったもので、すでに、使用中である。なお、この備品代金250,000円の
残額は、決算日現在未払いであり、これが未記帳となっている。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
備 品 100,000 |
仮払金 100,000 |
左側(借方) |
右側(貸方) |
備 品 150,000 |
未払金 150,000 |
6仮受金の整理
仮受金30,000円は、得意先より売掛金の代金が当座預金の口座に振り込まれていた
取引を記帳したものであった。
左側(借方) |
右側(貸方) |
仮受金 |
30,000円 |
売掛金 |
30,000円 |
|
|
|
|
(1)仮受金20,000円は、全額売掛金の回収であることが判明した。
解答
左側(借方) |
右側(貸方) |
仮受金 20,000 |
売掛金 20,000 |
(2) 仮受金50,000円は、得意先より売掛金の代金が当座預金の口座に
振り込まれていたが、内容が不明のために記帳したものであった。
左側(借方) |
右側(貸方) |
仮受金 50,000 |
売掛金 50,000 |